以前の記事では、Google Bardで生成されたコードのエラーを自動修正する方法を紹介しました。しかし、最新のGemini APIの登場により、コード生成とエラー修正のワークフローは劇的に進化しました。以前実現したかったことがどうなるかなども含めご紹介したいと思います。
目次
Gemini APIの進化点
APIがなかったころとは比べ物になりませんが、APIとしても進化を続けています。
Gemini2.0Flash時点では以下のような特徴があります。
高度なコード生成能力:
- Gemini APIは、より複雑なコード生成タスクに対応し、高品質なコードを生成できます。
- 自然言語による指示の理解度が向上し、より意図通りのコードを生成可能です。
強力なエラー修正機能:
- Gemini APIは、生成したコードのエラーを自動で検出し、修正する能力が向上しました。
- エラーメッセージを解析し、原因を特定して適切な修正を提案します。
- これにより、開発者はデバッグ作業にかかる時間を大幅に削減できます。
Gemの機能によるカスタマイズ:
- Gemとは、特定のタスクに特化したカスタムバージョンのGeminiの事です。
- ユーザーは、特定の指示セットを与えることで、Gemをカスタマイズすることが出来ます。
- 例えば、特定の役割(家庭教師、コーディングアシスタント、クリエイティブなライターなど)をGemに与える事で、使用用途に特化したGeminiを構築できます。
- Gemの機能により、特定のプログラミング言語やフレームワークに特化したGeminiを構築できます。
- 例えば、Pythonのデータ分析に特化したGemを作成し、より効率的なコード生成とエラー修正を実現できます。
Gemini APIを使った新しい開発ワークフロー
GeminiのAPIを使った場合、プログラミング、開発は以下のように変わっていくでしょう。コードを書くことはなく、動作の確認や要求にあっているかを見ることが中心になります。
- 自然言語で指示: 開発者は、Gemini APIに対して自然言語でコードの仕様を指示します。
- Gemini APIがコード生成: Gemini APIは、指示に基づいて高品質なコードを生成します。
- 自動エラー修正: Gemini APIは、生成されたコードを自動でチェックし、エラーを修正します。
- 開発者はレビューと調整: 開発者は、生成されたコードをレビューし、必要に応じて調整を行います。
サンプルコード
以前の記事で述べた、コードにエラーがあれば修正するような仕組みを実現してみます。
import google.generativeai as genai
genai.configure(api_key="YOUR_API_KEY")
model = genai.GenerativeModel('gemini-pro')
def generate_and_fix_code(prompt):
"""プロンプトに基づいてコードを生成し、エラーを修正する"""
response = model.generate_content(prompt)
code = response.text
try:
exec(code) # コードを実行
return code # エラーがなければコードを返す
except Exception as e:
error_message = str(e)
# エラーメッセージとコードをGemini APIに送り、修正を依頼
fix_prompt = f"このコードにエラーがあります:\n{code}\nエラーメッセージ:\n{error_message}\n修正してください。"
return generate_and_fix_code(fix_prompt)
# 例:簡単なPython関数を生成し、エラーを修正
prompt = "2つの数値を足し合わせるPython関数を作成してください。"
fixed_code = generate_and_fix_code(prompt)
print(fixed_code)
#例2:pandasのデータフレームを作成し、平均値を表示するコード
prompt2 = "pandasのデータフレームを作成し、平均値を表示するコードを作成してください。"
fixed_code2 = generate_and_fix_code(prompt2)
print(fixed_code2)
#例3:存在しない変数を利用する事でエラーを発生させ、修正を行う。
prompt3 = "存在しない変数testを利用してprint文を表示させるpythonコードを作成してください。"
fixed_code3 = generate_and_fix_code(prompt3)
print(fixed_code3)
コード解説:
generate_and_fix_code
関数は、プロンプトに基づいてコードを生成し、エラーが発生した場合は修正を試みます。exec(code)
は、生成されたコードをPythonインタプリタで実行します。try-except
ブロックは、コード実行時に発生する例外を捕捉し、エラーメッセージを取得します。- エラーが発生した場合、エラーメッセージとコードをGemini APIに送り、修正を依頼します。
- 例として、簡単なPython関数の生成とエラー修正、pandasのデータフレームを作成し、平均値を表示するコード、存在しない変数を利用する事でエラーを発生させ、修正を行うコードを記述しました。
使用例とケーススタディ
上記のコードは例えば以下のような場合に使ってみるとよいでしょう
- Webアプリケーション開発:
- Gemini APIを使って、WebアプリケーションのバックエンドAPIを自動生成する。
- APIのテストコードも自動生成し、品質の高いWebアプリケーションを効率的に開発する。
- データ分析:
- Gemini APIを使って、データ分析に必要なPythonコードを自動生成する。
- データの前処理、可視化、機械学習モデルの構築など、様々なタスクを自動化する。
- 教育分野:
- Gemini APIを使って、プログラミング学習教材を自動生成する。
- 生徒のレベルに合わせた個別の教材を作成し、学習効果を高める。
メリット
このコードを使うことで得られそうなメリットについて記載します
- 開発者は、コード生成やエラー修正にかかる時間を大幅に削減できます。
- より複雑な開発タスクに集中できます。
- コードの品質が向上し、バグの少ないアプリケーションを開発できます。
まとめ
Gemini APIの登場により、コード生成とエラー修正のワークフローは大きく変わりました。開発者は、Gemini APIを活用することで、より効率的に、より高品質なアプリケーションを開発できるようになるでしょう。
補足:
- Gemini APIを活用することで、開発者は独自の開発環境にGeminiの機能を組み込むことができます。
- Gemini APIは、様々なプログラミング言語に対応しており、幅広い開発タスクに活用できます。この例ではPythonですが、他の言語でも対応可能です。
この記事では、Gemini APIの進化によって、コード生成とエラー修正のプロセスがどのように変わるのかを具体的に解説し、開発者がGemini APIをどのように活用できるのかを説明しました。API使用可能な環境の方はぜひお試しください